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近年、さまざまなシーンで活用されている映像コンテンツ。学校や塾で活用する映像教材、家庭での学習に役立つ映像授業、企業研修や講演会用の資料などとして広く使用されています。そんな映像コンテンツの制作に欠かせないのがナレーションです。映像の情報を補完するのにとても重要な役割を担います。
しかし、
「ナレーションの原稿はどのように制作すればいいの?」
「ナレーションを依頼するときの注意点を知りたい」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はナレーションを依頼する際の注意点について解説します。
ポイントを先にお伝えすると、
・依頼の前に原稿を完璧にすること
・ナレーターに正しく要望を伝えること
以上の2点が重要になります。
また、音声作品であるナレーションにも著作権に相当する権利がありますので、使用の際には注意が必要です。
撮り直しを最小限に抑えながらハイクオリティなナレーションを完成させるために、ぜひ最後までご覧ください。
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ナレーション依頼の注意点を説明する前に、まずはナレーションに与えられる権利について解説します。 書籍や映像作品に著作権があるのと同様に、ナレーションにも音声作品として著作権に相当する権利があります。正確には「著作隣接権」といわれます。著作隣接権の内容は以下のとおりです。
著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている者(実演家,レコード製作者,放送事業者及び有線放送事業者)に与えられる権利
引用:文化庁 著作権制度の概要
ナレーターは依頼された文章を読み上げる実演者です。実演者に与えられる権利の中には同一性保持権があります。内容は以下のとおりです
自分の実演について実演家の名誉や声望を害する改変をされない権利
引用元のテキストが入ります
つまり、実演者の許可なく作品を利用することや、無断で音声を改変することは違反にあたります。完成したナレーションがイメージと違ったからといって、無断でスピードや声のトーンを変えるといった行為をしてはいけないことを念頭に置いておきましょう。 どうしてもイメージと違う場合には撮り直しを依頼することになります。撮り直しをするとなると時間だけでなく追加料金がかかる可能性もあるため、できるだけ避けたいものです。撮り直しを最小限に抑えるために、依頼前の確認をしっかり行いましょう。
事前準備のないまま録音してしまうと、収録後に「読み間違いがあった」「思っていたイメージと違う」という事態になりかねません。ナレーションを依頼する前に、完璧な原稿の作成とナレーターへの要望の確認を行いましょう。
ナレーターはクライアントが用意した原稿を忠実に読み上げます。そのため、原稿を完璧に仕上げることが重要となります。 完璧な原稿に仕上げるためのポイントは以下の4つです。
ナレーション原稿の場合には、耳で聞いて理解しやすい言葉や文章を使う必要があります。4つのポイントをそれぞれ詳しく説明します。
完璧なナレーション原稿にするために、まずは誤字脱字がないかの確認を行いましょう。特に専門用語、人名、地名など、固有名詞の間違いがないか繰り返し確認が必要です。
たとえば変換ミスで「紙」が「神」になっていた場合、読み方はどちらも「かみ」です。しかしイントネーションが異なるため、全く別の意味になってしまいます。また、「て、に、を、は」といった助詞も一文字違うだけで文章の意味が変わってしまいます。スムーズなナレーションにするためにも細かな部分まで間違いがないかチェックしましょう。
誤字や脱字を防ぐためには、完成した原稿を一度紙に印刷して読んでみる、第三者に読んでもらうといった方法が効果的です。
文章で読む場合には簡単な言葉であっても、耳で聞くと理解しづらい単語が多数あります。以下の例のように、できるだけ分かりやすい表現に直しましょう。
複数→いろいろ
注意する→気を付ける
的確な→正しい
安易な→簡単な
ナレーションでは、耳で聞いてスムーズに理解できるかに着目した原稿づくりが求められます。読み方は同じでも意味が違う同音異義語も、違う言葉に言い換えるほうが親切です。
「こそあど言葉」とは、「これ」「それ」「あれ」「どれ」といった指示語のことです。目で読む文章においては適切に指示語を使用することで、文章がシンプルに分かりやすくなります。
しかし、耳で聞くナレーションでは「こそあど言葉」を使用することで内容が理解しづらくなる場合があります。指示語が何を指すのか分からないときに、文章のように読み返すことができないためです。指示語の多用はできるだけ控えましょう。
1文は短く区切ったほうが聞き取りやすく、内容が理解しやすくなります。
目で読む文章であれば、多少長くても読み返しながら理解することができます。一方、ナレーションでは一方的に流れる音声を耳で聞いて理解しなければなりません。1文があまりにも長すぎると理解が追い付かなくなってしまいます。
1文の中に句読点が何度も登場している際は、文章を分けられないかを検討しましょう。目安としては、1文に対して盛り込む内容は1つまでとするのがおすすめです。
聞き手の立場に立った原稿作成をすることで、分かりやすいナレーションへと近づきます。
原稿が完成したら、どのようなナレーションにしたいかイメージを決めましょう。求めるイメージのナレーションに近づけるために、依頼するべきポイントと注意点は以下の3つです。
読み方やスピードを事前に細かく指定することで、撮り直しを抑えスムーズな録音作業を行うことができます。実際に原稿が読まれることを意識しながらイメージを伝えましょう。
文章を読むスピードはナレーションの聞きやすさを左右する大きな要素です。難解な内容を早いスピードで読んでしまうと聞き手の理解が追いつきません。対して、ゆっくりすぎても飽きられてしまう可能性があります。どのくらいのスピード感で読んでほしいかを事前に伝えておきましょう。
ナレーターに依頼することに加え、原稿を作成する際も映像の長さに合った文字数となるよう心掛けることが大切です。
一般的に、アナウンサーがテレビやラジオで1分間に読む文字数は300字程度とされています。もし、1分の映像のナレーションに500字ほどの原稿を用意してしまうと、時間内に読み終えるためにはどうしても早口になってしまうはずです。
映像の長さに合った文字数の原稿となるように意識するとよいでしょう。
ナレーターの性別や声の高さ、雰囲気によっても完成するナレーションの仕上がりは大きく異なります。
たとえば、女性の声は明るくはつらつとした印象に、男性の声は落ち着いた印象を与えてくれます。
「明るく」「はきはきと」「やさしく」「落ち着いた」など、映像に最適なナレーションのイメージを事前に伝えましょう。
一般的に、映像授業であればやさしい声、教材の紹介動画であれば明るくはきはきとした声が多いです。ナレーションを依頼できるサービスサイトなどでは、サンプルの音声を聞くことができるので参考にしてみてください。
読み方が難しい専門用語や人名、地名といった固有名詞などには原稿にふりがな(ルビ)をふりましょう。 また、読み方が2通りあるような言葉にもルビが必要です。 たとえば以下のような例があります。
故郷…「こきょう」「ふるさと」
身体…「しんたい」「からだ」
一昨年…「おととし」「いっさくねん」
このように、意味は同じでも読み方が違う言葉は多数あります。読み方を指定したい場合には、事前にルビをふっておきましょう。 さらに、聞き慣れないような専門用語であれば、イントネーションについても事前に共有しておくと安心です。
ナレーションは映像の情報を補完する重要な要素です。クオリティの高いナレーションによって、聞き手の理解度はぐんと向上します。
ハイクオリティなナレーションにするためには、「読み手」と「聞き手」の両方の立場になって考えることが大切です。読んで分かりやすい文章ではなく、聞いて分かりやすい文章となるよう意識することで完成度が高まります。
原稿が完成したら、一度自分で読み上げて違和感がないか確認しましょう。読みづらい表現や誤字脱字はないか、リズムがおかしくないか、一文が長すぎないかなどを判断できます。
また複数の人に読んでもらったり人が読んでいるのを聞いたりすることで、客観的な目線を持って改善点に気付くことができます。
ナレーターに依頼する前の入念な準備で原稿の完成度を上げて、よりクオリティの高いナレーションを目指しましょう。
今回はナレーションを依頼する際の注意点について解説しました。撮り直しを最小限に抑えるため、誤字脱字のない聞き取りやすい原稿作成、読み方やスピードをしっかり指定するという点を意識しましょう。
またナレーションの音声にも、書籍や映像の著作権に相当する権利があります。完成した音声を使用する際にはトラブルにならないよう注意が必要です。
繰り返しになりますが、ナレーションは映像の理解度を高める重要な要素です。ぜひこの記事を参考に、聞き手が理解しやすくクオリティの高いナレーションの作成を目指してください。
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